白い家
【
かなしいゆめのあと
】
The theme of this story is moral harassment
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しかし、それが何だったのか分からないうちに、その感覚は薄らいでゆき、午後の明るい日差しと熱気に汗がジワリと出てくるのを感じるのだった。
そして、柚菜は改めてリビング、ダイニングへと、視線を這わせてふと思う。
こうやって、たくさんの家具が家の中に配置されると、ただの箱だった建物が、人の暮らす場所となるのだという事を。
(新生活が始まるんだあ。)
柚菜は、つくづく思った。
それから、引越しの最中に思った事なのだけれど、家の中をリフォームした割には、どこが変わったの?と思うくらいに、変化が見られないのだ。
リフォームの詳細は、話し合いの時に同席していないので、どこをどう変えたのかは柚菜は知らない。しかし、リフォームというからには、どこかを変えているはずだった。
もともと綺麗に使ってあったので、そこが、どこだか分からないのだ。
例にとってみると、全体的に白い色で統一されているキッチン。
以前に来たときも、白いキッチンだった。対面方式になっていたし、コンロも三つある。ビルトインの食器乾燥機も同じ位置にある。リビングの家具もそうだ。
ふくろうの彫りこみがされてある、どっしりとした木彫りの重量感のあるソファなど、元あった家具がそのまま使われている。
(電化製品は、新しくなっているわね。)
柚菜は、冷蔵庫を指でなぞりながら、心の中でつぶやき、謎におもうのだった。
しかし、いくら考えてみても答えてくれる人がいない。こうやって、みんなが行ってしまうと、緊張のタガが外れ、眠たくなってくる。
(お母さん達が、帰ってくるまで、ちょっと眠ろう。)
そう決めると、柚菜は大きく伸びをして、二階に上がって行くのだった。
なんといっても、独立した柚菜に部屋には、エアコンが付いているのだ。是非とも涼しい冷気を浴びて、リラックス体験をしたいものだった。
柚菜の部屋だって、きちんと片付いたわけではないのだけれど、ベットに寝転がるくらいは出来る。
(キリがないもの…。それより、疲れた。)
柚菜は自分の部屋にたどり着くと、倒れこむようにベットに横になるのだった。
早速、エアコンの電源を入れる。柚菜の部屋の場合は、壁紙を張り替えエアコンも新しい。ベットから勉強机から、何から何まで新品だ。
「気持ちいいー。」
柚菜は声をあげて、大きく息を吸う。
(私の部屋よ。)
充実感一杯の柚菜は、朝からの疲れもあって、瞬く間に眠りに入ってゆく。
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白石かなな